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2024.04.20

競い合う場ではなく、個性を育み合える場:TYPICA GUIDE 2024を終えて

コーヒーを愛するすべての人々が本当に美味しいコーヒーと出会うためのガイドサービス「TYPICA GUIDE」のファイナルラウンドが、2024年3月20日、東京は築地近くの東京ポートシティ竹芝で開催され、青森のCOFFEEMAN goodが3-Star Roasterに輝いた。

ファイナルラウンドに進出したのは、TYPICAのコミュニティマネージャーが推薦した1-Star Roasterの中から選出された2-Star Roaster7軒。それぞれがコーヒーを淹れながら行った7分間のプレゼンテーションをもとに、各業界から選ばれた特別推薦人と一般参加者(来場者とオンライン視聴者)の投票によって3-Starが決定した。

ミシュランガイドを下地とするTYPICA GUIDEだが、一般生活者にも投票権があるところがユニークだ。プロジェクトの構想を描き、骨組みをつくったTYPICA共同創業者の山田彩音は語る。

「コーヒーの世界はとっつきづらいと感じている人たちや、どのロースターに行けばわからない人たちに、コーヒーをもっと気軽に愉しめる機会を提供したかったんです。創業以来、品質の高い生豆を流通させることは大前提として、私たちTYPICAがロースターを紹介することで彼らのファンを増やしたかったというのもあります。

私がかねてから思っているのは、ロースターは本当に素晴らしい仕事だということ。好きなものを追求して職業にし、仕事=生き方になっている。目の前のお客さんを喜ばせているだけじゃなく、地球の反対側にいる生産者の暮らしをよくすることにも貢献している。生活のために嫌な仕事を我慢しながら続けるのではなく、心底好きなことを純粋な気持ちのまま続けていける世界をつくるためにも、そのシンボルと言えるロースターさんが輝く場を用意したかったんです」

TYPICA GUIDEには、1-Star、2-Star、3-Starという区分があるため、格付けのように見られがちだが、TYPICAでは、1-Star:全国各地に点在するおすすめの店、2-Star:国内を旅行する友人に地域単位であえて一つ薦めるならこの店、3-Star:海外の友人に日本全体であえて一つ薦めるならこの店、と定義している。

第二回「TYPICA GUIDE 2024」ファイナルラウンドでは、前回からの改善点として、プレゼンを聞いた来場者がその情熱を受け取った直後にコーヒーを飲める場を設けた他、ステージ上のパフォーマンスの自由度を格段に高めた。抽出方法や使用する機器などのグラウンドルールは統一していた前回に対し、スタッフと一緒に出場する、自作の資料を共有する、あらかじめコーヒー豆を挽いておく、といった個々の要望を受け入れたのだ。今回、プロジェクトマネージャーを務めた大石葉月は振り返る。

「一定のルールがないと、制限時間内でやれることに差が生まれて、公平性が保たれないんじゃないかという意見も社内では出ましたが、最終的にはロースターさんが個性を最大限発揮できる形にしました。実際、淹れ方の作法や表現方法は、まったく推薦には影響しません。TYPICA GUIDEはあくまでも、『専門性を競うのではなく、それぞれの個性や魅力を讃え合い、育み合う場』だからです。

今後はおそらく、ミルクを使っていいのかなど、予期せぬリクエストが出てくる展開も想像できますが、それも含めてTYPICA GUIDEなのかなと。今回はじめて現場の温度感を知った私自身がすごく感動したので、次回は全力でロースターさんに参加を促していきたいと思っています」

ここからはファイナルラウンドに参加した2-Star Roasterの声を紹介する。

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LiLo Coffee Roasters 中村 圭太

結局は、目の前の一杯が美味しいかどうか

コーヒー業界にはいろんな競技会や人前に出る場がある中で、自分たちの哲学や信念を伝えられるTYPICA GUIDE は唯一無二の場だと前回の時点で感じていました。プレゼンの内容を練る過程で、自分たちが本当にやりたいことを再確認する機会になるからです。

ただ個人的には、前回のファイナルラウンドは散々な結果に終わりました。俺ならぶっつけ本番でもやれるという根拠のない自信にあぐらをかいて、何も準備せず臨んだ結果、開始10〜20秒で用意していたセリフが全部飛んでしまったんです。ひとえに僕の慢心によるものです。

その反省もあって、今回は僕としても、LiLo Coffeeとしても絶対に3-Starを獲るという意気込みで臨んでいました。台本もチームの皆で練り上げたものだし、抽出の手順からプレゼンの中で強調する部分まで、最高のレベルを追求しました。2-Starに決まって、台本のベースが仕上がってからの約10日間は、営業終了後の24時頃から朝までミーティングや練習を重ねたりと、万全を期して本番を迎えたんです。だからこそ、2-Starどまりだったという結果は重く受け止めています。

ありがたいことにお客様から「よかった」という声をたくさんいただいた中で、特に印象的だったのがある常連さんの一言です。悔しそうな素振りを見せる僕に、「いろんなこと言ってたけど、もうそんなんどうでもええねん。目の前のコーヒーが美味しかったらそれでええやんけ」と、慰めを込めて茶化しながら言ってくださった。あぁそうか、一杯の価値がお客様に伝わってこそ生産者にも還元していけるんだと、一番大事なことを再認識させてもらったんです。

ICOI COFFEE 佐々木 風帆

たまには、思いを真剣に伝えられる場があるといい

大学時代の授業で「発展途上国の安価な労働力を搾取してつくられている」という側面を知ったことからコーヒーに興味を持った僕は、これまでコンポストの活用など、何かしら社会によい取り組みを意識的に実践してきました。そんな自分にとって、志や原体験、情熱といったところで評価されるTYPICA GUIDEは、出る意義があるものだと思えたんです。実際、プレゼン内容を固めるまでに、それほど時間がかかりませんでした。

普段は、お客さんにそういう“真剣な話”をすることはほとんどありませんし、メディアにもあまり出ないようにしています。地方のコーヒー屋がエシカルやサステナビリティ的な要素を打ち出しても響く方は少ないので、伝えることと伝えないこと、伝えなくていいことの見極めには細かく気を配っています。

といっても、ICOI COFFEEが大事にしていること、つまり僕の考えを発信する機会はあった方がいいし、そこに共感する人が増えるのが理想です。普段は気楽な感じだけど、実は真剣なところもあるんだ、と思ってもらえるくらいがちょうどいいのかなと。

あとは自分自身、何も縛りがないと怠けてしまうタイプなので、大勢の前で公言することで退路を断つ、という意味合いもありました。言ったからにはやらなきゃいけない状態に持っていって、少しずつ実践していく。その姿をスタッフやお客さんに見せることで、いい方向に転がっていけばと願っています。

Days Coffee Roaster 白井 渉

ビジョンを広げた同志との出会い

今回、TYPICA GUIDEの2-Starにエントリーした理由のひとつは、あまり外に出ていきたがらない新潟県人の気質を変えていきたかったから。ファーストペンギン的に挑戦して意外と大丈夫だったという姿を見せることで、次に続いていく人を生み出したいと思っていました。

結論から言うと、メリットしかありませんでした。まずは、7分間のプレゼンに自分の思いを詰め込むこと、緊張感ある場で自分の思いや考えを発信することの大切さを身に沁みて感じたのがひとつ。会場でも店頭でも「白井さんのプレゼンが一番アツかったです」といった声を複数いただけましたし、YouTubeに残り続ける動画を通じて、今後、思わぬ形で新しい出会いがもたらされる可能性を思うとワクワクせずにはいられません。

次に、僕と同じくらい、あるいはそれ以上の熱量で、理想の未来を思い描いて、実現させるためのアクションを起こしている同志と出会えたこと。自分は間違ってなかったんだと再確認できたし、何よりうれしかった。おかげで、コミュニティの輪をもっともっと広げていきたいというビジョンが明確になりました。

これまではコーヒーの新しい価値や体験を提供して、消費国でポジティブなコミュニティをつくることに意識を傾けてきたけれど、その輪を生産国にまで広げて「◯◯さんのコーヒーを毎年買っています」という状態を当たり前にしていきたいなと。そのためにも毎年、生産国に足を運びつつ、生豆の購入量、焙煎量を増やしていきたいという思いが強まりました。

JUNCTION Coffee Roaster 田崎 慶貴

緊張感を持たせて、チーム力を高める

よくも悪くも、熊本ではスペシャルティコーヒーを扱う店が急増している中で、自分の店をPRしたいという思い。そして、創業前の2021年から毎年コロンビアを訪れて、生産者から直接生豆を買い付けてきた身として、語れることはあるのではないかという思い。その2つが今回、2-Starにエントリーした主な動機です。

とはいえ、10年も20年も店を営んできたわけではないし、業界経験もまだ8年ほどしかない。その中でも、ありのままの自分が感じていることを伝えられればと思ってファイナルラウンドに挑みました。

挑戦してみてよかったのは、プレゼンを準備する段階で自分を見つめ直せたこと。今年の年末、店のスタッフ全員が皆の前で(場合によってはお客さんも呼んで)プレゼンする場をつくる予定です。その場しのぎの言葉で終わって行動に結びつかないこともあるので、緊張感を持って仕事をしてもらうにはいい方法かなと。

それに、ファイナルラウンドに出場した他のロースターさんのチーム力に感銘を受けたんですよね。普段から同じ方向を向いて働いているから、こういう舞台に呼べるし、息の合ったパフォーマンスができる。そんなチーム力を高めていくためにも、僕と同じ経験を皆にしてもらうことにしたんです。僕自身、日頃から夢や目標を口にして自分を追い込んできたことで、いい結果に結びついてきた実感もありますしね。

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LATTEST 宗広 裕美

みんな素敵で、みんないい

2-Starにエントリーすることに決めたのは、失うものは特にないからです(笑)。チームスタッフの皆に「チャレンジしてみるべきかな?」と訊いたときに「ぜひぜひ」と背中を押してもらったこと、「プレゼンの動画をつくるんだけど、みんなも出てもらえないか?」と相談したとき、両手をあげて賛成してもらったことで、心は決まりました。

3-Starになることよりも、どんな理由であれ、LATTESTに行ってみたいと思う人を増やすことが目的でした。だから終わった後、私たちのコーヒーを買ってくださる方や「LATTESTさんらしい穏やかなプレゼンですごく素敵だった」「私たちの中では3-Starだった」と言ってくださる方がいたのはうれしかった。

私自身、昔は他のコーヒー屋さんと比べて落ち込んだこともあったけれど、自分たちには自分たちの魅力があるし、みんな違うからおもしろい。そう思っているので、TYPICA GUIDEでも競い合うという意識はなかったですね。と言いつつも、3-Starになれなくて悔しい気持ちもあるのが正直なところ(笑)。

思わぬ副産物だったのは、私の挑戦がチームのメンバーにとって刺激になったこと。私が真剣に練習している姿や、YouTubeの配信で私のプレゼンを見た約半数のスタッフが、何も聞いていないのに「心が動いた」「LATTESTで働けて本当に幸せだと感じた」というメッセージをくれたんです。

私なりに当初の目的は果たしたので、来年以降は私たちとは違う魅力を持つ他のロースターさんを推薦する側にまわりたいと思っています。でももし、LATTTEST内で、今度は私が出たい!と手を挙げるスタッフがいたら考えるかも。その子にチャンスをあげようと思うかもしれません。

LOUPE COFFEE STAND 増田 涼介

経験がないことは強みにもなる

お店を開業してから2年、焙煎を始めてから1年の自分が、2-Starに選ばれるなんて、正直、思ってもみませんでした。でも、ファイナルラウンドは皆が皆、立てる舞台じゃないし、せっかくこういう機会をいただけたからにはお店を知ってもらおう、自分がいつも出しているコーヒーを飲んでもらおうと自然体で臨みました。

ファイナルラウンドが終わって落ち着いてから、他のロースターさんのプレゼンを動画で見返したとき、改めて感じたのは熱量が半端ないってこと。そんな今、生産者さんの取り組みや私たちロースターの思いをもっと生活者の皆さんに届けていかなければ、興味を持ってもらえるコンテンツをつくらなければ、という気持ちに駆られています。

前職は理学療法士で、飲食やコーヒーとは縁がなかった僕には、生産者との強い結びつきもなければ、長年の積み重ねもありません。挑戦しない言い訳はいくらでも用意できたと思います。でも僕は、経験がない=型にはまらず、新しいことにも果敢に挑んでいける強みだと捉えているし、だからこそここまで来られたというのもある。もちろん、いろんな方の支えがあってこそではありますけども。

その意味では、TYPICA GUIDEも自分が挑戦している姿を見せるという意味合いは大きかったかもしれませんね。夢を語ると「それは無理だ」「できやしない」と言われるような世の中って、なんか寂しいじゃないですか。

COFFEEMAN good  橋本 雄大/有里

小さなことからでも世界は変わる

3-Starをいただけたことへの反響の大きさに驚くばかりです。連日、お客様からお祝いの言葉や贈り物をたくさんいただいたり、面識のないロースターさんから「プレゼンの内容に共感します」というメッセージをいただいたり……。

準備期間中も本番も、誰かひとりでもいいから私たちの気持ちが伝わればと思っていたのですが、プレゼン終了後、来場者の方々の目の前でコーヒーを淹れたとき、たくさんの方が「すごく感動しました」「すごく響きました」という感想をくださったことには胸が熱くなりました。

プレゼンの中で一言だけ皆さんに伝わってほしいことがあるとしたら、「小さいから何もできないんじゃなくて、自分自身と目の前にいる大切な人たちの世界を小さく変えていくことが大切だ」ということ。

TYPICA Labでペルーのスーシーさんが置かれている状況に居ても立ってもいられなくなり、非力な自分たちにでもできることを探し始めてから2年半。ひとつの心がこんなにも多くの方に伝わることに驚きと喜びを感じています。小さなことからでも、本当に世界は変えられるのかもしれないと思えた瞬間でした。

それもこれも、TYPICAさんやキュレーターのCultivarさん、いつもお店に来られるお客様がいてくださるからこそ。大きな夢に向かって励みながらも、謙虚な気持ちで皆さんへの感謝を忘れずにいることの大切さを、今、改めて実感しています。

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◆ オンリーワンには誰でもなれる

TYPICA GUIDE 2024の来場者のひとりが、神奈川の逗子で暮らすアメリカ人のマシュー・アモンソンだ。10年以上、ニューヨークでアニメーションスタジオを経営するなど、長年クリエイティブの世界で生きてきたマシューは、コーヒーへの興味、関心が高じた末、コーヒーをひとつの生業にすべく、目下、焙煎所(ZigZag Coffee)の立ち上げを進めている。 

「印象的な場面はたくさんあるけど、ひとつ挙げるならCOFFEEMAN goodがプレゼンの最初に音楽を流し始めたところかな。ある特定のタイミングでユウダイが話し始めたとき、ダンスみたいだと思ったんだ。全体を通して“振り付け”がよく考えられていて、パートナー(ユリ)とのあうんの呼吸も素晴らしかった。

ロースターのプレゼンやコーヒー、そして流す音楽や身にまとう服からも信念や個性を知ることができたし、彼らをサポートする人たちも含めた小さなコミュニティと触れ合えたのもよかったね。彼らの店を訪れたら、きっと同じようなバイブスを感じられるのかな、もっと豊かな体験ができるのかなって想像が膨らんだよ。

アートにも通じることだけど、コーヒーってすべての感覚で味わうものだからね。音楽から照明、調度品、友人との会話まで、その空間を満たしているものすべてによって、目の前の一杯はより素晴らしいものになる。とにかくTYPICA GUIDEは、僕にとって素敵な“紹介”になったよ。わざわざ足を運んで、コーヒーを楽しみたいと思う場所が日本の各地にできたんだからさ」

コーヒー業界には味や技術を競う大会もあるが、飲み手がコーヒーを買う店を選ぶ基準はそれだけではない。店主や店員の人柄、店の雰囲気、店の取り組みへの共感など三者三様だ。

ナンバーワンは一人しかなれないが、オンリーワンには誰でもなれる。TYPICA GUIDEはいわば、光の当て方によっては思わぬ煌めきを放つ個性があるのだと世に示すエキシビションなのだ。

「本来、社会は一人ひとりがつくっているもので、その集合体が世界であるはずなのに、力を持った人たちや声の大きな人たちが決めたルールによって動かされていることに問題意識がありました。誰もが投票できる仕組みにしたのもしかり、TYPICA GUIDEは一人ひとりが草の根的に変化を生み出していける世界をつくるための一つの手段なのです」(山田)

◆ 特別推薦人より

● 石原 恒和 株式会社ポケモン代表取締役社長・最高経営責任者

私には、毎朝、2種類のコーヒーを飲み比べる習慣があります。自分で焙煎したコーヒーとプロが焙煎したコーヒーのどっちがうまいか、勝負しているんです。だいたい私が負けるのですが、どこが違うのか、なぜその違いが生まれたのかを研究することで、私の腕も磨かれます。

だから今日、プレゼンを聞かせていただいた2-Star Roasterのコーヒーはすべて買って帰りますよ。7種類あるので、明日からの1週間が楽しみですね(笑)。

● サカイカナコ KANAKO SAKAI デザイナー / CEO

水やエネルギーなど多くの資源を使い、温室効果ガスの排出量も多いファッション業界は、環境に大きな負荷をかけていること。サプライチェーンには多くの中間業者がいて、技術職の方々の下請け仕事が多くなってしまっていること……。そういった途方もない問題に対して、自分たちがやっていることは本当に微力すぎて、無力感に苛まれたりすることがあります。

でも今回、情熱に溢れた皆さんのプレゼンを聞いて、どの業界も同じなんだなと気づかせてもらいました。心が揺さぶられて泣きそうになったくらいです。たとえ小さいことでも情熱を持って継続していこうと、気持ちを新たにすることができました。

● テレサ・コスタ The Coffee Quest Brasil 創業者

生産者が愛情を持ってコーヒーをつくっているところを普段から見ている人間として、地球の裏側にいる人たちがそのコーヒーを大切に焙煎して、生活者に紹介している場面に立ち会えて感動的でした。誰が一番美味しいコーヒーをつくれるか、技術を競い合う競技会がある中で、今回、生活者向けのイベントに参加したのは初めて。コーヒーの新しい評価軸を提供するイベントで、とても興味深かったです。

十河 ひろ美 ハースト婦人画報社編集長 / 信州大学特任教授

2-Star Roasterの皆さんが一生懸命にプレゼンされている姿に感銘を受けるとともに、丁寧に淹れられたコーヒーはこんなにもピュアで美味しいのだと改めて感動しました。そして何よりTYPICAさんの真摯な活動には深く共感しています。今後、SDGsの観点からの消費行動がいっそう高まっていく中で、コーヒーを取り巻く環境や私たちの意識が、よりよく変わっていくことを期待しています。

● 坂野 晶 一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン代表理事/一般社団法人Green innovation 理事/共同代表/株式会社ECOMMIT 取締役CSO

私が普段関わっている環境分野でも言えることですが、目の前の人に向き合って丁寧に伝えていく草の根的なアプローチと、同じ志を持つ人たちで集まって、時に看板の力を借りながら制度や仕組みを変えていくアプローチ。社会を動かしていくにはその両輪が必要だと改めて実感しました。自分たちの力だけでは出来ることに限りがあると無力に思うこともあるかもしれません。

しかし、今回ロースターのみなさんが、コーヒー生産者のもとを訪問して気候変動のインパクトを実感されたことや、TYPICAさんや輸出会社の協力を仰いで生産者のために乾燥台を購入されたこと。そういった話を聞いて、TYPICAさんのようなプラットフォームの果たす役割はますます大きくなっていくのではないかと感じました。ぜひこの場を通してさらに学びあい、仕組みへのアプローチが増えていくと嬉しい限りです。

写真:Kenichi Aikawa

TYPICA GUIDE 2024 Final Round