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2022.12.01

Brilliance】ナディーン・ラッシュ : Primavera Coffee

こんにちは、ナディーン・ラッシュです。プリマヴェーラ・コーヒーの創業者です。私とコーヒーの物語りについてお話します。

私の家族は農園を営んでいました。子どもの頃、休日はよくコーヒーノキのまわりで過ごしていました。当時はコーヒーに情熱を注ぐようになるとは思いもしませんでした。しかし  その後長い間  他の国で生活して気づいたのです。私のやりたいことはずっと、目の前にあったのだと。

大学を卒業後、投資ファンドで働いている時、数百万人の生産者とその家族がコーヒーに人生を捧げているにも関わらず、コーヒーの取引には透明性や公平性が欠けていると知りました。生産者の暮らしを安定させるために私にも何かできるんじゃないか。そう思って母国グアテマラから活動を始めました。

私が実現しようとしたのはシンプルなビジネスモデル、より良い販売価格、買い手との直接取引です。そして情熱を持った生産者、販売価格に見合う高品質のコーヒーを生産している生産者を探し始めました。

5組の生産者のコーヒーを扱った最初のオファーは2012年。私の家族の農園を含む彼らのコーヒーをヨーロッパに届けました。以来  さまざまな困難がありました。サステナブルな事業の構築から資金調達まで色々です。若い女性だという理由で差別を受けることもありました。

しかし  私は努力し続けてきました。初めてコーヒーを買ってもらってから10年が経ちました。かつて抱いていたビジョンが実現し  夢が叶ったことを誇りに思います。

今  私たちはグアテマラで300組以上の生産者家族と働いています。彼らには農業教育や研修を無償で提供しています。また、3つの女性コーヒー団体を支援しています。その1つは若者向けです。

私たちは相場を大きく上回るフェアな価格でコーヒーを買い取っています。透明性のある取引で生産者と多数の国外の顧客をつないでいます。

グアテマラでは自社のミルと輸送システムを持っています。より効率的で費用対効果の高いサプライチェーンを実現できています。それにより、生産者に最大限の利益を還元できるのです。

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TYPICAと一緒に働くことができてとても嬉しいです。彼らが私たちのもとを初めて訪れたのは2020年。素晴らしい関係性になるとすぐに確信しました。

日本に来て数日が経ちましたが、今まで見たことのないような名誉と敬意の文化があると感じています。よりよいコーヒーを追求し続けているすべての生産者を誇りに思います。そしてそのコーヒーは、はるばる日本でロースターによって提供されているのです。

このプレゼンに向けて、この10年間の取り組みや私たちの現在地、今後見据えていることを考える必要がありました。今の気持ちをひと言で表すなら「感謝」です。チームの一人ひとりの努力に感謝しています。

彼らのおかげでプリマヴェーラの夢である「公平でサステナブルなバリューチェーン」が実現しているのです。素晴らしいコーヒーを生産  精製してくれている生産者にも感謝しています。

収穫期には疲労に負けずカッピングを続けてくれる品質管理スタッフ、そしてマイクロロットを分別する大変な仕事をしてくれるミルのスタッフ。おかげでサステナビリティとトレーサビリティを確保できています、ありがとう。それから、コーヒーの物語りを伝えてくれているセールスチームの皆にもお礼を言いたいです

もちろんロースターやインポーターにも感謝しています。私たちを信頼し、コーヒーを購入してくれてありがとうございます。今後10年の目標は、より多くの生産者家族をサポートし、サステナブルなコーヒー生産を支援していくことです。

彼らが努力と品質に見合う対価を得られるようにしたいです。今後もグアテマラで事業を続けていきますが、いつか他の国にも活動を広げるかもしれません。今回は日本にお招き頂きありがとうございます。私たちと共に働く生産者を代表してお話することができて光栄です。

*質疑応答

ーーこれまでで一番大きな困難は何ですか?

10年前、若かったこともあり、周りの人に真剣に取り合ってもらえなかったことでしょうか。それが一番難しかった部分です。しかし私は素晴らしいチームに恵まれました。彼らのおかげで乗り越えることができました。

若さゆえに直面した難しさがあった一方でそれは強みにもなりました。「若い女性がコーヒーを買いに来た」と皆がうわさし始めたからです。大変な時期もありましたが、当時同じ地域で活動していた他のバイヤーと差別化することができたのです。

今年はミルのマネージャーをバイク事故で亡くしました。収穫期真っ最中だったので  乗り越えるのにはパワーが必要でした。

当日のプレゼンテーションを動画でご覧頂けます。