Square Mile Coffee Roasters スクエアマイルコーヒー ロースター / ジェイミー・イセット/トム・フラウィス

Square Mile
Coffee Roasters

スクエアマイルコーヒー ロースター / ジェイミー・イセット/トム・フラウィス

一人ひとりの意思が未来を動かす。“最高の”チームでつくる”最高の”コーヒー

イギリスのコーヒーロースターSquare Mile Coffee Roasters

2007年のワールドバリスタチャンピオンに輝いたジェームス・ホフマンが2008年、アネット・モルドバとともに立ち上げたSquare Mile Coffee Roasters(以下、スクエアマイルコーヒー)。急拡大しているロンドンのコーヒー市場と足並みをそろえるように成長を遂げ、今や世界的に有名なブランドとなっているスクエアマイルコーヒーはなぜ、業界のパイオニアとして、注目を集める存在であり続けるのか――。生豆のバイヤーを務めるジェイミー・イセットとコーヒーの部門長を務めるトム・フラウィスにその秘訣を聞いた。

イギリスのコーヒーロースターSquare Mile Coffee Roasters

 チャレンジできる環境を耕す

スクエアマイルコーヒーを創業して以来、人々を楽しませ、人々の興味を惹きつけるコーヒーを調達、焙煎してきた共同創業者のジェームス。ロンドンのコーヒー文化・コーヒーコミュニティを生み出し、育んできた彼は、100万人のフォロワーを持つYouTubeチャンネルでコーヒーに関連する動画コンテンツを制作している今もなお、スクエアマイルコーヒーで働くメンバーの心を動かす存在であり続けている。

現在のスクエアマイルコーヒーを牽引しているのは、最高責任者を務めるフェリシティ・ホワイトだ。彼女は、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることに注力しているという。

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トムは言う。「メンバーどうしの会話や議論に多くの時間を費やしている当社には、お互いにフィードバックを行う組織文化があります。タスクやプロジェクトが完了したら、自分たちがやってきたこと、学んだことなどを記録に残してディブリーフィング(報告会)を行うのです。

当社では、週に一度行う全員参加のミーティングや各部門内で行うミーティングにとどまらず、部署や役割にとらわれない横断的なコミュニケーションが活発です。私たちがお互いに学び合う機会を得られているのは、フェリシティやジェームスら、マネジメントチームのおかげです。彼らは、メンバー一人ひとりが十分な情報を得たうえで意思決定をできるように促し、会社のビジョンを実現できるように導いてくれているのです」

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主体性が情熱を生む

生豆の調達を担当しているジェイミーは言う。「当社では、世界一のコーヒーから、日常的に飲める調和のとれたコーヒーまで、いろんな商品をそろえていますが、そのうち約半数が後者です。昔ながらのコーヒーの風味もあれば、上品さが感じられるコーヒーもある。この幅広さが、私たちが今までアクセスできなかった生産者と新しくサプライチェーンを築けるチャンスであり、業界を今後発展させていくための鍵だと思っています。

当社がこの規模感で事業を継続させてこられた秘訣のひとつだと思いますが、年ごとに購入数が大きく変動する取引より、徐々に時間をかけて安定させていく取引の方が健康的で持続可能です。約半年前に入社後、私たちが小さいサプライヤーからコーヒーを買うことで、どれだけ彼らのビジネスに活力を与えているか、どれだけ大きな影響を与えているかを聞いて、心が揺さぶられましたから」

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目先の利益や成果を追わないスクエアマイルコーヒーのスタンスは、生産者に対しても変わらない。現地企業などが提供する教育プログラムを取り入れている生産者から生豆を購入することが多いのがその一例だ。

「経済的に困窮し、汲々とした生活を送っている多くの生産者は、目の前の仕事に追われて、将来に向けて何ができるのか、どうすれば自分の仕事をサステナブルなビジネスにできるのか、どうすれば収益性を上げられるのか……といったことを考える余裕がありません。今自分にできること、知っていることだけで生活するのが精一杯だからです。

このプログラムを取り入れている生産者がトレーニングを受けられるのであれば、私たちは自ら進んで通常料金に上乗せしてプログラムの費用を支払うケースもあります。将来的にはプログラムを開発している非営利団体やその他の組織と協働したり、生産者にトレーニングを提供している専門家を雇用したりすることを望んでいます」

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そんなスクエアマイルコーヒーだが、コーヒーの味をよくしたり、コーヒービジネスの収益性を高めたりすることだけに焦点を当てているわけではない。

「生産者を含めて、一緒に働く人たちの生活の質を向上させるようなプログラムを支援することもあります。(私たちが生豆を購入している)東ティモールのスペシャルティコーヒーの輸出業者『Karst Organics』がよい例でしょう。彼らは単なるコーヒー団体ではなく、経済的な教育や農業研修などの開発プロジェクトにも力を入れています。

そういったプログラムの目的は、彼らの人生の選択肢を広げることです。それしか選択肢がない状況で義務的にコーヒー生産の仕事を選ぶよりも、自分の意思でコーヒーを生産する仕事を選ぶ方がずっといいことだと思うんです。

スペシャルティコーヒーを買う立場として言えるのは、安心して働ける感覚が生産者にあった方が、コーヒーの味はぐっとよくなるということ。その感覚があれば、単に目的達成のための手段として働くというより、情熱を持ってコーヒーを生産する方に向かいやすくなるんです」

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バランス感覚を大切に

ジェイミーはスクエアマイルの社風についてこう語る。「入社初日に感じたのは、みんなちょっとした会議にも考えをよく練ったうえで臨んでいるということ。当社では、すべての人たちが同じ目標、同じ情熱を持っているように見えたんです」

トムは言う。「私たちが思いついた何百ものアイデアのうち、実現するのはごくわずかです。特に重要なのが、会社全体でバランスを保ちながら、どのプロジェクトにフォーカスして取り組むべきなのかを考える時間です。私たちは皆共通の目標を達成するために、目的意識と責任感をもって仕事に取り組んでいます。誰かが不在のときは他の人が仕事をカバーする仕組みが確立されているのです」

ジェイミーも同調する。「多くの会社では、一旦リーダー的な役割に就くと休暇を取るのはほぼ不可能です。特に、成長中の企業であれば、自分の役割をカバーしてくれる人がいる状況をつくるのはなおさら難しいでしょう。その点、当社はとても健全な組織だと思います」

イギリスのコーヒーロースターSquare Mile Coffee Roasters

前職のコーヒー会社でヘッドロースターを務めていたトムは、とあるコラボイベントでスクエアマイルコーヒーの真髄を見たという。

「『いいチームといいコーヒーは、どちらが欠けても成り立たない』と聞いて、ハッとしたんです。すべてがうまくいくには、あらゆる要素が考え尽くされた環境を優先しなければならないのかと。スクエアマイルで働く人たちやコーヒー、そしてスクエアマイルが表現するもの、これらすべてが私を今いる世界へと導いてくれました。チームがプロジェクトを進めていくために大切なのは、バランス感覚なんです」

木が年輪を重ね、少しずつ幹を太らせていくように、スクエアマイルコーヒーが“自然な”成長を遂げてきたのは、それぞれの人材が自身の持ち場で本領を発揮しているからだろう。

文:中道 達也

MY FAVORITE COFFEE人生を豊かにする「私の一杯」

トム:
休暇中にどこかの小さな町や村に出かけて、スペシャルティコーヒーを扱う小さなカフェに入り、その店のスタッフと話をすると、コーヒーにとても誇りを持っていることが伝わってきます。自分の仕事がどこかの国や町で暮らす誰かの生活につながっていて、公平公正なサプライチェーンを確保することに役立っている。そう感じられて誇らしく思うんです。

ジェイミー:
キャンプや旅先などで淹れるコーヒーがお気に入りです。おいしいコーヒーを淹れるための最高の条件はそろっていませんが、コーヒーを淹れられるという気持ちこそが最高なんです。私にとって重要なのは、コーヒーそのものよりも、コーヒーを飲む環境です。すばらしいコーヒーとすばらしいロケーションが重なり合って、すばらしい体験が生まれることが本当に大好きなんです。

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