Peralta Coffees

Introduction
ペラルタコーヒーは、20世紀初頭から続く伝統ある生産者です。NYのニカラグア専門ロースターCafé Integralのオーナー、Césarに紹介してもらいました。ペラルタコーヒーは、ニカラグアの名産地ディピルトとサンフェルナンドに農園を所有し、モソンテに広大なドライミルとカッピングラボを所有しています。様々な実験的な精製方法を積極的に採用し、ユニークなコーヒーを作り、世界中の名だたるバイヤーに紹介しています。

Person
オーナーのオクタヴィオは、優しく繊細な心を持つ男性です。コーヒーや人への接し方に、深い思いやりを感じます。彼らのコーヒーの品質はおしなべて高く、その理由はそのような「心」にあると確信しています。

彼は優れたコーヒー生産者でありながら、優れた経営者でもあります。オクタヴィオの自宅はオコタルにありますが、彼は自宅の隣で、精肉のビジネスも営んでいます。日中、自宅の中庭を解放して、彼らのお肉を提供するちょっとしたレストランをオープンしています。そのレストランで食べた食事が、今回の旅で最も美味しい食事となりました。

About Farms

ペラルタコーヒーは5つの農園を所有しています(Finca Coffee Libreを除く)。

Finca Santa Maria de Lourdes サンタ・マリア・デ・ルルド農園
標高: 1150〜1300m
面積: 32ha

険しい山道を四駆のバンで登り切ると、山の谷間に小さなウェットミルが見えます。農園の道中には、コーヒーチェリーを詰める袋を活用したゴミ箱を頻繁に見かけました。自然環境の保護への配慮も行き届いています。自然豊かで静かな環境で、農園を見下ろす崖の上に座っていると、鳥の声しか聞こえません。ウェットミルではPenagos製のパルパーを使用しています。この農園は、ペラルタの農園の中で最後に収穫が終わる農園です。収穫は1月から始まり4月まで続きます。平均年間生産量は、1000袋(69kg袋)です。

Finca Coffee Libre コーヒー・リブレ農園
標高: 1600m

韓国の有名ロースターCoffee Libreが所有する農園です。Coffee LibreのオーナーPilは、ニカラグアやグアテマラに農園を所有し、ダイレクトトレードを実現しています。彼はペラルタのドライミルの近くで結婚式を挙げるほど、この地に愛着を持っています。彼らの農園を訪れカッピングさせて頂いたところ、ユニークで品質が高かったので、日本のロースターさんにオファーさせてもらえるよう頼んでもらいました。山の頂上付近にあるこの農園は、白い花畑に囲まれた天国のような農園です。コーヒーの木はよく手入れされており、とても健康な印象を受けました。Pinhalense製のパルパーを採用したウェットミルでは、Anaerobic Lactico(牛乳を加えた嫌気性発酵)など、ユニークな精製方法が多く試されています。

Finca El Bosque エル・ボスケ農園
標高: 1250〜1560m
面積: 42ha

エル・ボスケ農園は、三つの丘の中腹に跨っています。ウエットミルではPenagos製のパルパーを使用し、非常に少ない水で精製を行うことが可能です。また、この農園は豊かな水源に恵まれているので、農園に必要なすべての電力を水力発電で賄うことができます。レインフォレスト・アライアンスの認定を受けており、すべてのコーヒーが日陰栽培で生育されています。平均年間生産量は、1200袋(69kg袋)です。

Finca La Argentina ラ・アルジェンティーナ農園
標高: 1150〜1300m
面積: 75ha

ラ・アルジェンティーナ農園は、彼らの家族が経営する最も古い農園です。ウェットミルでは、Pinhalense製の新しいパルパーを採用し、水の消費量を最小限に抑え、環境負荷を軽減しています。

Finca La Cascada ラ・カラカスカーダ農園
標高: 1170〜1300m
面積: 72ha

「滝」という名前を持つ農園には、6つの小川と滝が流れています。その流れは、やがてひとつの川に集約されます。この農園はディピルトに隣接しているため、訪れやすいロケーションです。

Finca Samaria サマリア農園
標高: 1320〜1450m
面積: 45ha

サマリア農園は、ホンジュラスの国境に接した農園です。隣の農園まで歩いて行くと、国境を越えるほどの近さです。自生するシェイドツリーを利用し、様々な品種が育まれています。

Location

HQ

Dry mill at Mozonte

オクタヴィオの自宅兼レストラン

Transparency
彼らはコーヒーの生産、精製、輸出を一貫して行っています。様々な区画、品種、精製方法のマイクロロットは、収穫からロースターの手に渡るまで、完全に追跡可能です。

Nicaragua 2020

*この記録は2月に中米へ渡航した時に記した文章である。新型コロナウィルス以降、世界の見え方がまったく変わってしまったことに驚く。

ニカラグアからグアテマラへ移動する飛行機でこれを書いている。一時間ほどのフライト。眼下には隆起した大地や名もない湖が見える。まだまだ目に映していない風景、出会っていない人々が無限に存在することに、とてつもない自由さを感じる。

2018年の政治闘争によってさらに危険なイメージが強まったニカラグアだが(実際何人もの人に「ニカラグアは近年危険みたいだけど大丈夫?」と心配された)、実際に身を置いてみると、穏やかで、どこか日本に似た印象の国だった。

どこか、というかかなり、と言った方が近いかもしれない。首都マナグアからコーヒー生産地にほど近いオコタルまで車で移動したのだが、まるで日本の田舎のように田んぼが延々と続き、時々郊外型の街が現れる。ガソリンスタンド、ちょっとした飲食店。田舎の方まで来ると鄙びた温泉街のような風情があり、山に入ると松の森に囲まれ、大小の石が転がった清流が流れている。すれ違うのはトヨタなどの日本車ばかり。「ここって北陸かどっかだっけ?」と、少し倒錯した感覚を覚えた。人の感じは温かく控えめで、多くの人は英語を話さず、それも日本のよう。観光客は少なく(特にオコタルは、世界的なコーヒー名産地ではあるが、観光資源があまりない。欧米のバックパッカーを一組しか見なかった。アジア人には会わなかった)、のんびりとした雰囲気だった。ニカラグアの滞在は、エキサイティングな冒険というより、田舎のおじいちゃんの家を訪れた。という感覚の方が近いかもしれない。

この国が、外務省の危険度地図によると、中程度の黄色に塗られているのが不思議だ。私が訪れたマナグアとオコタルに限って言えば、危険や怪しい雰囲気を一度も感じなかった。2018年にニカラグアで起こった闘争について調べると、凄惨な写真が次々と出てくる。ニュースの記事などをみると、これがこの地で起こっていたとはにわかには信じ難い。ある生産者によると、2018年は国の機能が麻痺していたため、コーヒーを輸出することが叶わなかったという。それによって、彼らは多くの従業員と売上を失った。

火山国であるため地震も多く、ハリケーンに見舞われることもあり、決して豊かとは言えないニカラグアという国の宝石であるコーヒーを取り扱うと思うと、その過程の一つ一つを大切にしたいと、改めて思える。