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2022.11.01

第一回年次総会を開催しました

TYPICA初の年次総会「TYPICA Annual Meeting」を10月10〜14日の5日間、日本の伊勢と東京で開催しました。テーマは「SDGS〜永続的発展世代始動」。「美味しいコーヒーのサステナビリティを高める」という目的を共有する世界22カ国・地域の生産者やロースター、業界関係者ら約80人が一堂に会し、学びと対話を深めました。生産者とロースターそれぞれに光を当てるプログラムや伊勢神宮への特別参拝、アジア最大のスペシャルティコーヒーの祭典「SCAJ 2022」でのブース出展などを通じ、創業以来育まれてきたコミュニティの広さと深さを体現しました。

「総会」といっても、座学だけではなく、主体的に学びを得られるプログラムを多数開催しました。コロナ禍のさまざまな状況により、リアルな場で出会う機会のなかった同志たちが知識と経験を共有し、想いを分かち合うことでそのつながりが活性化すると考えたからです。参加者はプログラムに応じて発表者になることもあれば、聞き手や質問者、投票者にもなりました。

初日は日本の精神性と伝統を肌で感じることから始まりました。元ユネスコ事務局長顧問・服部英二氏による講演で伊勢神宮に宿るサステナビリティの本質を学び、その後伊勢神宮を正式参拝しました。中には年次総会に参加するために初めてパスポートを取り、初めて飛行機に乗ったという方もいらっしゃいました。国や文化の違いを超えて、心を鎮め、共に参拝したことはコミュニティにとって貴重な経験となりました。

会場を東京に移して行った二日目の「Producer Award」では、18の生産者がプレゼンテーションに臨みました。美味しい飲み物であるとともに、自分自身の幸福や生きがいとして常に心の中心にあるコーヒー。自国の伝統文化を伝えようと、歌やダンスを披露したり民族衣装をまとったりして、コーヒーとの出会いや想い、ビジョンを語る生産者もいらっしゃいました。プレゼンテーションとカッピングを参加者が総合評価して投票する方式で、100件を超える投票の結果、エチオピアのWete Ambela Coffeeが優勝しました。

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三日目には国内外約200社が出展する「SCAJ 2022」が開幕し、東京ビッグサイトの会場内にTYPICAブースが登場しました。ロースターが主人公の動画シリーズ「Meet the Roasters Video」を鑑賞し、本人と後藤のトークを聴くプログラムや、生産者とロースターが時間と空間をともにするカッピングを開催。ロースターが実際に生産地を訪ねて学びを深める「TYPICA Lab」の第一弾として、9月にボリビアを訪ねたグループによる報告もありました。

四日目は本当に美味しいコーヒーを推薦する「TYPICA GUIDE」のFinal Roundを開催。各エリアから推薦された2-Star Roaster7人がプレゼンテーションとブリューイングを行い、東京のRaw Sugar Roastが最高賞の3-Star Roasterに輝きました。発表者の小坂田祐哉さんはコーヒーを取り巻く政治を変えようと挑む生産者を「革命を狙う同志」と表現し、「人同士のつながりが最後の味となる」とスペシャルティコーヒーへの想いを語りました。受賞後のトークセッションで「伝えるという責務を心の中に持ち、生産者の声を反映、増幅させる存在としてコーヒーカルチャーの底上げをしていきたい」と今後の抱負を語りました。

今回の特別推薦人は、株式会社ディー・エヌ・エー代表取締役会長の南場智子氏、ミシュラン三つ星15年連続獲得のカンテサンスオーナーシェフ岸田周三氏、HIP HOPアーティストKREVA氏、WWDJAPAN執行役員編集統括兼サステナビリティ・ディレクターの向千鶴氏、独立系スペシャルティコーヒー雑誌「Standart」創刊者兼編集長のMichal Molcan氏、Rockbern Coffee Group創業者のPeter Muchiri氏(アフリカ生産者代表)、Primavera Coffee創設者兼ディレクターのNadine Rasch氏(中米生産者代表)、Java Frinsa EstateのFikri Raihan Hakim氏(アジア生産者代表)と、TYPICA共同創業者の山田の計9人が務めました。オンライン参加も可能で、選考には世界28カ国の約700人(事前のオンライン推薦を含む)が関わり、「コーヒーを愛する全ての人が推薦する」というプロセスを体現できました。

五日目の最終日は「Standart」の行武温さんが親交の深い代表・後藤とのトークセッションで編集作業の裏側を語りました。フィナーレは、今回の参加国で最も多くの生産者が来日したボリビアのカッピング。Nayra Qataの小規模生産者が一人一人、生産時の工夫や今後への意気込みを語り、参加者は33種類のカッピングを行いました。

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また、年次総会に先立ち、生産者がロースターを訪ね、生活者にコーヒーが提供されている現場を体験する「ロースタービジット」を関西東北エリアで開催しました。

5日間を通じて、コミュニティの主体である生産者とロースターがつながり、生産者同士が絆を深める光景が数多く見られました。ある生産者は「夢のような日々」と形容し、別の生産者は「一粒の生豆がどれほどの意味を持つのかを家族に伝えたい」と語りました。

あらためまして、年次総会にご参加、ご協力いただいた皆様に心から感謝申し上げます。