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2021.05.03

Nicaragua

コーヒー生豆生産地ニカラグア

ニカラグアという国

ニカラグアは中米で最も面積が広い国で、人口はおよそ650万人。火山、湖、熱帯雨林、カリブ海、太平洋沿岸など多様な自然環境に恵まれている。主要産業は、コーヒーを筆頭に、葉巻、サトウキビ、牛肉などの農牧業。コーヒー生産地へ向かう道路沿いでは、広大なタバコ畑を見ることができる。

また、ニカラグアはハイチに続き中南米で二番目の貧困国と言われる。その理由を語る上で避けられないのは内戦の歴史だ。1979年、キューバ革命に影響を受けた左派がニカラグア革命を成功させた。同年、それを危険視したアメリカがニカラグアの右派ゲリラに軍事援助を行い、右派と左派の間で約十年間に及ぶ内戦が勃発した。長きにわたる内戦によって多くの国民は死傷し、アメリカの経済制裁によって経済は崩壊した。生活基盤は失われ、ニカラグアは国家の崩壊寸前まで追い込まれた。1989年、コスタリカのアリアス大統領の提言によって内戦は終結することになる。アリアス大統領は、この内戦終結を含む中米和平合意成立の功績によってノーベル平和賞を受賞した。

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この内戦はニカラグアという国を完全に疲弊させ、その影響は今も色濃く感じられる。2018年には独裁的な左派の政治体制への反発が激化し、大きな反政府デモが起こり多くの死傷者を出した。追い打ちをかけるように、2020年、米国のトランプ政権は反米色の強い左派政権に対して経済制裁を加えた。

中米諸国を訪れた中で、ニカラグアはほかと少し雰囲気が異なるように思えた。フライトが少なく、入国が最も煩雑であり、政府関係のWebが国外からアクセスできないこともあった。観光資源は少なく、有名なサーフスポットがいくつかあるというが、コスタリカやエルサルバドルほどマーケティングされていない。それらを前提に考えると、ニカラグアにおけるスペシャルティコーヒー産業の重要性はさらに際立って感じられる。

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ニカラグアの国民性

ペラルタコーヒーのフリオはニカラグアの国民性を『Persistent(粘り強さ)』と表現した。ニカラグアは内戦だけでなく地震やハリケーンなど自然災害も多く起こり、国民は常にそのダメージを耐え忍んできた。実際にニカラグアを訪れても、悲壮感や荒んだ雰囲気はまったく感じず、人々は穏やかに日常を生きているように思えた。また、フリオによるとニカラグアのコーヒー生産者は真面目で我慢強く、こつこつ仕事をするという。例えばほかの国と比べ、精製を丁寧に行い、品質を上げる努力を惜しまない。そんなどこか日本人に似た国民性は、過去の壮絶な歴史によって育まれたものかもしれない。

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また、ニカラグアの人は文化に対して繊細な感性を持っている。中南米で最も有名な詩人、ルベン・ダリオはニカラグア出身で、ニカラグアの人はそれをとても誇りに思っているようだ。また、これは個人的な所感だが、音楽を好む人も多いように感じた。生産地へ向かう車の中でドライバーは常に音楽を楽しんでいたし、ペラルタ一族の自宅に招かれたときも、プロジェクターから音楽が流れていて「いつもこうしてみんなで音楽を楽しむんだよ」と言っていた。レストランではいつも素敵な音楽が流れていた。それらは偶然だったかもしれないけれど、音楽によって人生の豊かさを取り戻そうとしているようにも思えた。そして、それは少しキューバを思い起こさせた。

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ニカラグアのコーヒー生産

18世紀にキリスト教の宣教師によって、ニカラグアにコーヒーはもたらされた。実際に生産が開始したのは1950年代と言われている。主要なスペシャルティコーヒーの生産地は、ホンジュラス国境付近のヌエバ・セゴビアや中央部のヒノテガで、それらの地でほとんどのカップオブエクセレンス受賞ロットが輩出される。生産量はコスタリカやエルサルバドルを上回り、2019年には世界11位だった。約20年前からニカラグアではスペシャルティコーヒーに特化した先駆的な生産者が現れはじめた。

品種はカトゥーラ、カトゥアイをはじめ、ジャバニカなどニカラグア独自の品種もあり、隣国から様々な希少品種が取り入れられている。また、精製に関してはアナエロビックなど新しい方法を積極的に採り入れ、品質を向上させる努力を惜しまない。大量生産からスペシャルティコーヒーをダイレクトトレードで輸出するというスタイルへのシフトは、ニカラグアに限らずコーヒーのサステナビリティを高めるほとんど唯一の方法である。一方で、そのような海外志向の先進的な生産者と小規模生産者のギャップも存在する。

私たちは自社の発展だけでなく、ニカラグアのコーヒー全体のサステナビリティを意識し、コーヒー産業そのものを引き上げようとするペラルタコーヒーのあり方に深く共感し、パートナーシップを結んでいる。

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